ぶうこのできごとを、コラムでつづります
動物は、人を癒してくれるといわれます。疲れたとき、落ちこんでいるときに、ぶうこのおかで、私も楽になれた日がありました。まさか、ぶうこを心配する日が、こんなにすぐにやって来るとは、思ってもいませんでした。
動物は、元気でたくましいもの、まして、雑種は病気などしないと、勝手に思い込んでいました。 最初は、前足の付け根にできた、かさぶたです。しばらくすると消えましたが、また、できたので、病院へゆきました。「アトピー」という見立てでした。
歳の瀬の12月29日、後ろ足の指の毛が抜けているのに気がつきました。指が赤く、腫れているように見えます。怪我をしたと思って、病院に行くと、「毛包虫症」でした。
「毛包虫症」は、ニキビダニというダニが原因で起こる皮膚炎です。病院で、次のような説明を受けました。ニキビダニは、正常な犬にも寄生しているが、成犬でおこる場合は、何かの原因で、抵抗力が低下しておこることがある。それは、内科的な病気や、腫瘍。ぶうこは、足にデキモノができているので(前の病院では、気にしなくていいといわれていました)、毛包虫症が治ったら、デキモノの検査をしましょう、と言われました。抗生物質の飲み薬(錠剤)をもらって帰りました。ぶうこは、頭じゃなくてよかったね〜。頭がはげたら、恥ずかしくて散歩に行けないもんね〜と、車のなかで冗談を飛ばしていました。
家に帰ってから、病院でくれた「毛包虫症」の説明のプリントも読みました。そこには --------
「ある種の犬では遺伝的に全身に広がるような素因を持っているので、このような犬を飼うことは勧められません。」ガーン。ものすごいショックでした。しかし、その先に------
「局所性毛包虫症は軽症型です。一般にふつうは頭か前足に数ヶ所の脱毛部ができるだけです。局所性ならほとんど完全に回復します。」ほっ。しかし、またその先に-------
「全身性毛包虫症は重症でしばしば治療が困難です。・・・このような症例のほとんどは治りますが、そのうちいくつかは症状を押さえるだけでは、根治できず・・・」脱毛が、広がらないことを祈りながら正月を迎えました。
効き目は現れず、液体の飲み薬が追加されました。薬に慣らすために、最初は1週間に1回、次に2日に1回、最後は毎日という予定でした。フェラリア予防の薬?倍の濃度だそうで、吐くかもしれないと言われましたが、ぶうこは平気でした。
獣医さんが、液体の薬を注射器で口に入れると、ぶうこは大暴れでした。もともと、病院は大嫌いです。診察台はもちろん、玄関からも逃げ出そうとするぶうこです。2日に1回の薬を、自宅でちゃんと飲ませられるか、心配になりました。翌日から、錠剤2種類と、液体の薬を飲ませました。錠剤は朝晩の食事に混ぜて、液体は注射器(はり無し)で口に入れます。最初は、私がぶうこを押さえ、ダンナさんが、ぶうこの口に注射器を押し込みましたが、2回目からは、座っておねだりするようになりました。液体の薬は、シロップで、ぶうこは、注射器がからになっても、ガチガチと名残惜しそうにかんでいました。
1週間続けて、いよいよ目標の毎日投薬です。これから効き目がでるはずです。
ところが2日目、ぶうこの様子が変になりました。
よろよろ、ふらついて、玄関の階段で、こけました。散歩でまっすぐ歩けない。ときどき、ぴょんと跳ねる。何もないのに迂回して進む。とても、だるそうです。体をふるのも、スローモーションです。目は大きく見開き、反応がいつもと違います。私のことが、わからなくなってしまったのでは?ぶうこが、ぶうこで、なくなったような気がしました。病院に連絡して、投薬を止めて様子を見ました。しかし、夕方になっても、治らないので連れて行きました。それほど深刻ではない、ということで、液体の投薬を止め、錠剤のひとつを半分に減らすことになりました。
毛包虫症の投薬中に、新たに首と太ももに、円形脱毛が出来ました。こっちは真菌症でした。マラセヒアというカビです。劇的に効く錠剤が追加になりました。この原因も、低効力の低下という説明に、ますます暗くなりました。それでも、効く薬があるから、まぁいいか・・・と思っていた矢先でした。
ぶうこと暮らすこれから10年・・・という計算が、みるみる崩れて行くような気持ちになっていました。「いつまでもあると思うな○○とぶうこ」そんな心境です。薬が増えて1週間に1度、¥5,000・・・1ヶ月で2万円。「ぶうこ貧乏」そんな言葉が、口から出ました。「無駄遣いはやめて、全部、ぶうこにつぎ込む」と、ダンナさんは宣言しました。(あわわわ・・・→私)
液体の薬を中断して、1週間。ときどき、だるそうにしています。まだ、完璧ではないようですが、だいぶ元気になりました。首の脱毛あとに、うっすらと毛が生えてきました。毛包虫症の指は、ほとんどわからなくなりました。液体の薬は、冷蔵庫に保管中です。
な〜んだ、治ってる!と、思いたい私です。 ぶうこ、もうすぐ1周年の春のことでした。
その後、脱毛のあとは、毛がふさふさになりました。毛包虫症と真菌症は、どちらも治ったようです。(2003年3月)